最優秀作品賞
Water Is Life
Director: Anıl GÖK
【審査コメント / COMMENT】
干上がった湖の魚、その湖に水を注ぐ一人の老人の物語かと思うと、そうではありません。老人の次は一人の女性が、その次は誰かが、水を運んで注いでいきます、その動きは続いていくことでしょう。本作成立の前提は、人間はそもそも生命を育む気持ちを持っている、ということです。ここで人間が育む生命は人間のものでなく魚の生命です。その様が映しだされていくだけの作品です。
そんな様子が、見事な撮影技術と迷いのない演出で映像化されています。しかし、注意深くみてください、農地に水を引き込んだ結果湖が干上がったらしいことも垣間見えます。
本作は、おだやかな映像に癒される寓話でもあり美しい映像詩である。そして何より、私たちに、生命に対する愛情と愛情に裏打ちされた忍耐を再認識させつつ、持続することの重要性を刻印する。
観る者の内面には力強いエモーションが波打つはずだ、それでいい。またこう思う人もいるだろう、こんな人たちが暮らす土地に行ってみたい、(自分の)命の洗濯をしたい、と。
本作は、芸術映画としての成立、観光映画祭としての面目、映画祭のテーマSDGsを基本を問う姿勢まで含んでいる作品です。
東洋大学国際観光賞
Oasis
Director: Jasper Neupane, Rashmita Limbu
【審査コメント / COMMENT】
本作は、コロナ禍のネパールの限界集落への旅、危険と隣り合わせであるシェルパを通して、持続可能とは何か、環境問題、そして都市と開発などさまざまな問題提起をしています。
映像にある活動を実際に我々も体験してみたくなるような臨場感、コロナ禍におけるタイムリーさも併せ持つ作品です。
また、教育と観光をマッチさせたテーマは、切り口として新しいものであると感じられました。